休日の暇つぶしのお供ブログ

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フランツ=カフカの傑作・変身のあらすじと感想【文学】

34歳の独身男、どうも、ぴじょんです。

 

今回は、歴史的名作文学、フランツ=カフカの「変身」を考察します。

 

この記事では、

 カフカの変身のあらすじ

 変身を読んでの感想

がわかります。

 

 

カフカの最高傑作と名高い「変身」

4連休とはいえ、コロナや梅雨の影響で、なかなか外出しづらい…。

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こんなときは、本を読んで有意義に過ごしましょう。

 

ということで、今回は歴史的名作、フランツ=カフカの「変身」を読んでの感想をまとめてみました。

変身 (新潮文庫)

変身 (新潮文庫)

 

 

変身のあらすじ

物語の前半【変身〜失職】

一家の大黒柱として家計を支えていた主人公のグレゴール=ザムザ。

 

ある朝、変な夢から目を覚ますと、自分が虫に変身していることに気づきます。

 

冒頭は、近代文学では結構有名なこのフレーズ。

ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変っているのを発見した。

新潮文庫 カフカ 変身(高橋義孝訳)から引用

 

グレーゴルは、虫になってしまった自分の境遇と、家族の借金のために働いている、現在の自分の仕事に対する不満について、寝床に引きこもり考えます。

 

本来なら出勤しなければならない時間帯…。

出勤してこないことを咎めるために支配人が家庭訪問します。

 

なんとか出勤させようと、部屋のドア越しに、支配人と家族は働きかけますが、虫に変わったグレーゴルは言葉を発しても相手に伝わりません。

 

そして部屋が開き、虫の姿を目撃されてしまい…、逃げ帰る支配人と、狼狽する家族。

普通の生活が送れないことを印象付ける前半パートですね。

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物語の中盤【人と虫、どちらとして扱うか】

今まで好きだったものを食べても美味しくない。

まるで腫れ物のように扱われるグレーゴル。

 

身の回りの世話は妹がやってくれるのですが、人としての尊厳を忘れないように家具を置いておくか、虫として動きやすいように家具を取り除くか…。

 

そういった葛藤が随所に出てきます。

 

しかし、そういった配慮も虚しく、グレーゴルをよく思わない父親から林檎を投げつけられ、重傷を負ってしまいます。

 

家族内でのグレーゴルへの認識に違いが出てくるパートですね。

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物語の後半【もう家族ではない】

父親に投げつけられた林檎が身体にめり込んだまま過ごすグレーゴル。

それは身体に障害を残していて、もう、自由に這いまわることはできません。

 

ただただ弱っていくだけのグレーゴルですが、家族からの愛の手はもうありません。

そんなある日、家の中で事件が起きてしまい、グレーゴルを放り出してしまおう!と妹が言い出します。

 

その決意を固めた次の日、衰弱し、干からびて死んでしまったグレーゴルが発見され…。虫から人に戻ることはありませんでした。

 

そして、グレーゴルが死んだことで、なぜか希望に満ちた決意を固める残された家族…。

 

そんな後味の悪い感じで、物語は終わります。

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「虫」への変身が表現したいものとは

物語の中で、「虫」がどういう生き物か、具体的に語られる部分はありません。

 鎧のように硬い背中

 ふくらんだ褐色のお腹

 たくさんの足

これだけが描写されているので、何の虫なのかは読者の想像の中。

 

余談ですが、カフカは具体的な「虫」の名前をイメージさせないように、挿絵や表紙で「虫」の絵を使わないように指示していたようです。

 

※当初の変身の表紙

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僕は、ゴキブリやムカデのような、家に出たら困る害虫を人間サイズにして想像してました。

 

ただ、ここで大事なのはどんな虫に変身したのか?ということではなくて、醜い存在に変身したということだと思います。

 

古来から、カフカの生い立ちを踏まえて、いろいろ解釈されてますが、僕が思う、この作品の読者への投げかけは次の1点に尽きると思います。

 

「最愛の人が醜い存在になっても同じように接することができるか?」

 

そして、作者であるカフカはできないと思ったんでしょう。

見た目というのは愛するうえで大事な要素ということを伝えてると思います。

 

これには、カフカの家庭問題も影響してるとは思いますが…。

 

顔を火傷したとか、耳を欠損したとかであれば、今までどおり接することもできるでしょう。

 

でも、虫に変身するとまでは言わないけど、コミュニケーションをとることが難しい状態になってしまったら…、その最愛の人を今までどおり愛せるか、というのは自信ないですね。

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読後の感想

文庫で100ページくらいの短い小説。

文章の短さの割に、読み応えがあるのは状況描写を細かく書いているからでしょう。

 

特に、なんの虫かはわからないグレーゴルの気持ち悪さは異様です。

ただ、状況描写が細かい割に、グレーゴル目線での心の動きしかないため、読者に他の登場人物の心情などを考えさせる余白があります。

 

この余白の部分、34歳の今と、10年後に読んだ時とではまた考えが変わってそうですね。

 

最後、グレーゴルはあっさり死んでしまうので、そのあたりの後味の悪さも、考えさせる部分が多いんでしょうね。

変身 (新潮文庫)

変身 (新潮文庫)

 

 

過去、夏目漱石のこころを考察しましたが、たまには過去の名作を振り返るのもいいですね。

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